Fランの大学生なんてのは基本的にヒマを持てあましている生きるゴミクズだ。
そもそも勉強したくて入ってきたわけじゃないし、Fランの学歴なんて何の役にも立ちやしない。
もちろん、Fランだとしても「勉強」をする気持ちがある奴は話は別だし、学歴と関係なく多少なりマシな未来が待ってるだろうけど、俺みたいなやる気ゼロ&地頭も悪いクソ同然の大学生の未来は、学歴を手に入れたところで、どう考えても暗い。
ちなみに俺が通ってるのは法学部なんだが、俺が法学部に入った動機ってのも、われながらかなりヒドくて「なんとか法のスキマをぬって楽に金稼げないかなー?」というものだった。
この動機で法学部を選んだ俺は、弁護士を目指していたりFランなりにキビシイ国家試験を通ろうと思ってるような勤勉な連中にはとても顔向けできない。
そんな俺だから、六法全書なんて硬くて分厚い枕でしかないし、授業中は基本的に爆睡。学費泥棒ここに極まれり。一応、出席だけはして単位はギリギリ手に入れてるけれど、実質「毎日が夏休み」ってところだね。
当然、そんな俺が「楽に金を稼ぐ」ための目が覚めるようなアイデアを思いつくわけもなく、法のスキマなんてとても見つかる気配もない。「厳然たる法の前では人は無力」ということだけを、睡眠学習でひたすら学ぶ日々だ。
ただでさえ基本が夏休み状態なのだから、「本当の夏休みのシーズン」は「ヒマ」のレベルが段違いにあがってしまい、ようするに「死ぬほどヒマ」になってしまう。
そんな今年の「死に至るヒマ」を埋めていくにあたって、俺がいま暇つぶしの方法として注目しているのは「オンラインカジノ」だ。
オンラインカジノに興味を持ったきっかけ
俺は「オンラインカジノに対して警視庁から違法の警告が出た」のをきっかけにして、オンラインカジノに興味を持つことになった。
そこはさすがに腐っても法学部だし、「楽に稼ぐこと」を考えている俺としては「楽に稼げるかも?」という候補の一つだったオンラインカジノの「違法の警告」は、興味関心を持つのに十分な理由になる。
それまでも、山口県阿武町の誤送金事件の使い込みなどでオンラインカジノのことはなんとなく知っていたのだが、今年の4月ごろに起こった「京都府警の男性巡査書類送検事件」が俺の興味関心を決定的にしたといえる。
誤送金事件のときは、「使い込み」のほうが罪に問われていたからあまりオンラインカジノの違法性に目を向けることがなかった。
だが、今年の「京都府警巡査オンカジ書類送検事件」に関しては、「オンラインカジノの違法性」がまざまざと可視化されたかたちになる。
警視庁による巡査の書類送検。これが「警視庁からのオンラインカジノに対する警告」でないとしたら、一体なんだというのだろうか?
こうして、末端ではあれど一介の法学部生ではある俺は、純然たる「暇つぶし」として、まずは「オンラインカジノの違法性の調査」にのめりこんでいった、というわけだ。
法のスキマでギリギリ許されているオンラインカジノ
「オンラインカジノの違法性」については、「明らかに違法」であるにもかかわらず「法のスキマ」でギリギリ許されている、ということがひとまずは言える。
「法のスキマ」で、なんとなく許されているところが、「法のスキマをぬって楽に稼げないかね?」と考えていた俺が、オンラインカジノに惹きつけられた理由でもあるといえる。
「京都府警巡査オンカジ書類送検事件」は、言ってしまえば「違法なのを黙認してきたけど、そろそろ遊んでるやつらの検挙もしていくよ」という警視庁からの目配せのようなものであり、見せしめでもあるだろう、というのが俺の判断。
とはいえ、「京都府警巡査オンカジ書類送検事件」以降は、これといった逮捕者や検挙などもなく、ふたたび「法のスキマでギリギリ遊べるオンラインカジノ」の地位は安定状態に回復しつつあるように見える。
とはいえ、油断は禁物で、できるならば「違法性を回避してオンカジを楽しむ方法」を知ったうえで遊んでおきたいところだ。
違法性を回避してオンカジを楽しむ方法はない
だが、六法全書などを紐解き「オンラインカジノの違法性」を検証していくと「違法性を回避してオンカジを楽しむ方法は、いまのところはない」という結論にしかたどりつかなかった。
これは言い換えると、「違法性を全面的に受け入れて、それを自覚しながら堂々とオンカジを楽しむ」という方法以外では日本人がオンラインカジノで遊ぶことはできない、ということを意味している。
実際、オンラインカジノで遊んでいるすべての日本人プレイヤーが、自覚的であれ無自覚であれ、この「違法性を全面的に受け入れる」という方法で遊んでいることは、くつがえすことができない事実だ。
書類送検された京都府警の巡査が自覚的だったか無自覚だったかはわからないが、「まあ、なんとなく大丈夫だろう」とボンヤリ考えながら、危機感ナシで呑気に法を犯してオンラインカジノで遊んでいたことは、まず間違いないだろう。
これが「見せしめ」の一件でとどまるのか、「今後の大量検挙」へと繋がるのかはわからないが、この事件が、一部の日本人オンカジプレイヤーに「あれ、俺もヤバいかな?」という危機感を植えつけたであろうことは、想像に難くない。
賭博法から見るオンラインカジノの違法性について
賭博法を厳密に適用した場合、オンラインカジノで遊ぶこと自体が「違法」であることは避けられない。
「合法でもないし違法でもない」というような言い方は「現在の見逃されている状況」に対しては言いうることであっても、法の観点からはそのように言うことができず、しっかりと「違法」である。
ここからは「賭博法」を見ていきながら、オンラインカジノで遊ぶことの違法性を簡単に見ていくことにしたい。
海外に拠点を持つオンラインカジノは賭博法を違反しない
まずは「オンラインカジノで遊ぶこと」の違法性ではなく、「オンラインカジノの存在が違法かどうか」についてだが、これに関しては「海外に拠点を持つオンラインカジノ」の場合は「日本国内の賭博法」で裁くことができないため、賭博法を違反することはない。
オンラインカジノの胴元が「賭博法」を犯すパターンとしては、「国内の業者」がオンラインカジノの胴元となってオンラインカジノの経営をした場合は「賭博場開帳罪」に該当し、違法となる。
だが、「オンラインカジノの業者」は基本的には海外業者であるため、日本国内の賭博法である「賭博場開帳罪」を適応することができず、海外拠点のオンラインカジノそれ自体を「違法」とすることはできない。
オンラインカジノが「合法でもなく違法でもない」というグレーゾーンの扱いをされるのは、この「海外のオンラインカジノを日本の賭博法が裁けない」というところに原因がある。
オンラインカジノで遊ぶプレイヤーは賭博法に違反する
日本人が日本国内で、法的に許可されているのではないギャンブルで賭博をした場合は「単純賭博罪」か「常習賭博罪」に違反した、という判断がなされる。
日本では「競馬、競輪、競艇、オートレース」といった公営ギャンブルと、パチンコ、宝くじやお年玉郵便はがき、また「一時の娯楽に供する物を対象とする賭け行為」以外のすべてのギャンブルが違法の「賭博」と判断される。
このうち「一時の娯楽に供する物を対象とする賭け行為」だけは説明が必要だろうか。
これは「景品つきのクイズ大会」とか「勝ったほうが焼き肉をおごる約束のボーリング」などの「娯楽」に該当するものである。
ここでも、仮に「金銭」を賭けた場合は「賭博」となる。たとえば、「賭け麻雀」だとか「賭けゴルフ」なんかになったら、それはもう「賭博」だ。
オンラインカジノで遊ぶことは、遊ぶこと自体が「賭け麻雀」や「野球賭博」などにベットするのと同じ行為とみなされて、即座に「違法」ということになるわけだ。
となると、即座に「違法」になるにも関わらず、即座に「逮捕」ということにならないのはなぜか、ということになる。
オンラインカジノは違法であるという現場をおさえられない
「合法の場」で「明らかな違法行為」をしているという、その「現場」をおさえにくいことによって、オンラインカジノは「グレーゾーン」になっている。
オンラインカジノは、日本国内の賭博法で裁くことができない海外拠点のオンラインカジノという「場」で、「違法行為」である賭博行為を行う。
前述したように、「場」自体は国内の賭博法では裁くことができないし、その「場」というものがオンラインである以上、「生身の人間が賭博行為をしている」という「現場」が見えにくくなっているのが、オンラインカジノだ。
賭博の検挙というのは「賭場」が明らかであればあるほど、確実になる。その「賭場」が国内になく、またインターネット上にしかない、となると「違法行為」を取り締まることは、きわめて難しくなる。
明らかな違法でありながら、それでも日本国内での「プレイヤー」の検挙がきわめて少ないのは、オンラインカジノが「場」と「行為」の一致を難しくしているためである。
この「場」と「行為」のズレを「グレーゾーン」ということによって、「オンラインカジノで遊ぶこと自体の違法性による検挙」が回避され、「日本人がオンラインカジノで遊べる」という状況が成立している。
ただし、回避しているのはあくまで「検挙」のほうであり、「違法性」のほうではない。「オンラインカジノで遊ぶ」という行為が「違法」であることは、法的には揺るがない、ということだ。
ただし、揺るがない法に、「スキマ」があらわれることは、確かで、俺は、この「スキマ」に関心を持ったワケだ。
オンラインカジノが暇つぶしにちょうどいい理由
「明らかに違法でありながらその検挙が難しい」という一点のみで賭博がギリギリ許されている状況にあるオンラインカジノは、それで遊ぶにせよ、考察するにせよ「死に至る暇つぶし」をしなければならない法学生の俺にはちょうどいい。
「法のスキマをぬって楽に金を稼ぐ」という理由で進学を決めた俺としては、「法のスキマ」そのものであるオンラインカジノの存在、それ自体が実におもしろい。
そして後半の「楽に金を稼ぐ」のほうだが、こちらは、あまり期待できない。
オンラインカジノに関して「法のスキマをぬって楽に金を稼いでいる」のは「オンラインカジノの業者だけ」であり、オンラインカジノのプレイヤーは楽に金を稼ぐことができない仕組みになっている。
プレイヤーは「法のスキマ」をぬうことはできても、金を稼ぐことはできない。
このくらいのことは「賭博法」などを通して賭博のシステムをおさえておけば、俺みたいなFラン法学性でも理解できることだ。
だから、俺としては「法的にスリルのある娯楽」として「稼げない娯楽」として、勝ち負け関係なく、今年の夏休みをオンラインカジノの研究についやすことにした。
検挙によって法学生としての生命が断たれる可能性もあることを考えると、「死に到るヒマ」に対する「命がけの暇つぶし」ということになるだろう。