オンカジで遊ぶことは日本の賭博法に即して考えると違法であるにもかかわらず、「違法である」という認識に至らない人が一定数いる。
オンカジが有名になるにつれて注目も浴びたことで、警視庁から「違法だ」と言われるようになって、そこではじめて「オンカジってやっぱり違法なの?」と気づかされた層もけっこういるみたいだ。
オンラインカジノのことを調べて暇つぶしを始めたころ、「オンカジ 違法」という検索をかけると、サジェストとして「オンカジ 違法 いつから」という検索結果が出てひどく驚いたことを思い出す。
このマヌケすぎる「オンカジ 違法 いつから」というサジェストは、いまもオンカジについて調べると出てきて、俺は驚きを通り越して、呆れて頭が痛くなる。
この「オンカジ 違法 いつから」というサジェストが表示されることからわかるのは、「賭博は違法」ということと「オンラインカジノは賭博だから違法」が繋がっていない人が一定数いる、という事実だろう。
今回は、「オンラインカジノの違法性」に対して「いつから?」などという質問をしてしまうような誤った認識がどういったところからくるのかを考察しつつ、あらためて賭博法におけるオンカジの違法性の要点をおさらいしていけたらと思う。
法用語としての賭博と日常言語としての賭博の混同
「オンカジは賭博だから違法である」と考えられない人は、「法用語としての賭博」と「日常言語としての賭博」の区別がついてなくて混同しているのではないか、と俺は考えている。
俺自身、Fラン法学生として軽く刑法について学ぶまでは、「賭博」という言葉に対する認識は「日常言語としての賭博」でしかなくて、「賭博法という法における賭博という言葉」を知らなかったから、これは仕方のないことかもしれない。
「日常言語としての賭博」ってのがどういうことかっていうと、まあ、ストレートに「ギャンブル」って意味として「賭博」という言葉を使ってしまってる、ってことだね。
当たり前の話をしていると思われるかもしれないけれど、いま、けっこう重要なポイントについて話しているので注意してほしい。
「俺の趣味はギャンブルです」っていうときの「ギャンブル」という言葉と同じ重さと意味としては、法用語の「賭博」っていう言葉を使うことはできない、ということなんだ。
だから、仮に「俺の趣味は賭博です」と言った場合は、法的な扱いとしては「俺の趣味は『賭博法に違反して法を犯すこと』です」という自己紹介として受け取るしかないし、相当ヤバいやつだ。
その人がやってる「ギャンブル」が仮に「パチンコや競馬」だったとしても、「俺の趣味は賭博です」といったら、法的には「俺は違法のギャンブルをしています」という意味にとられる。
「賭博」ってのは法的にはそういう言葉なんだよね。たとえば、こんな会話をさらに続けてみたらもっとわかりやすいかな。
「おれって賭博が趣味なんだよね」
「ってことは、違法のギャンブルでもやってるの?」
「いや、パチンコとか競馬だから合法のギャンブルだよ」
「でもさっき賭博って言ったじゃん」
「えっ?」
「えっ?」
こういった「賭博」という言葉に対する「法的な認識/日常的な認識」の根本的な違いが、「オンカジは賭博だから違法である」という事実の理解を妨げて「オンカジはいつから違法なの?」などというマヌケな質問を引き寄せてしまっているのでは、と俺は考えている。
賭博罪における「賭博」という言葉の意味
賭博罪における「賭博」という言葉がどのように定義されているかというと、「2人以上の者が偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為」である。
こういう法的な文章の回りくどい表現にぶつかると俺もFラン法学生であることをいつもやめたくなるのだが、俺なりにもう少し噛み砕いて言いなおしてみると「運で勝敗が決まる勝負に金銭を賭けて争うこと」が「賭博」という行為になる。
要するに、「ギャンブル」という名前であつかわれる遊戯は、基本的にはぜんぶ「運で勝敗が決まる勝負に金銭を賭けて争っている」わけだ。
だけど、競馬や競輪などの公営ギャンブルやパチンコなんかは「運で勝敗が決まる勝負に金銭を賭けて争っている」けれど「賭博」ではない。それはなぜかっていうと「国に認められている」から。
だから、法的な言葉としての「賭博」は「運で勝敗が決まる勝負で、さらに国に認められていない勝負に金銭を賭けて争う行為」という風に理解すれば、まあ、おおむね間違いがないんじゃないかなと思う。
オンラインカジノは国がまったく認めてないから、ジャンルとしては「ギャンブル」ではあるけれど、行為としては「賭博」に該当するってわけだ。
ちなみに、胴元側にイカサマがある場合は「偶然性」が排除されているから、「賭博罪」じゃなくて「詐欺罪」になるのがちょっと面白い。
オンカジにイカサマがあるかどうかによっては「オンカジは賭博だから違法」なんじゃなくて「オンカジは詐欺だから違法」って言うこともありえる。法的にはね。
3種類の賭博罪から考えるオンカジの違法性
賭博罪は「単純賭博罪」「常習賭博罪」「賭博場開帳等図利罪」の3種類がある。オンカジはこの3種類の賭博罪にそれぞれ該当する違法なギャンブルだ。
このうち「単純賭博罪」と「常習賭博罪」はオンカジのプレイヤー側が犯す賭博罪であり、「賭博場開帳等図利罪」はオンカジの胴元が犯す賭博罪ということになる。
「3種類の賭博罪」といったが実質は「賭博罪」と「賭博場開帳等図利罪」の2種類だけがあるとも考えられる。
というのも「単純賭博罪」は1回の賭博に対しての罪で、「常習賭博罪」は賭博を繰り返した場合に対する罪であり、「賭博をするもの」に対して与えられる罪であることで共通しているのだ。
オンカジで遊ぶことは違法だがオンカジ自体は違法ではない
賭博法における「単純/常習賭博罪」と「賭博場開帳等図利罪」をそれぞれオンカジに即して見ていくと、「オンカジで遊ぶことは違法だがオンカジ自体は違法ではない」ということがわかる。
「オンカジはいつから違法なの?」というマヌケが質問が出る原因も、この「遊ぶことは違法で、オンカジ自体が違法ではない」というアンビバレンツな状況のためだろう。
「賭博場開帳等図利罪」というのは「賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者」に対する罪だから、「オンカジ」はバリバリ法を犯しているように見えるかもしれない。
だけど、賭博法っていうのは「日本国内」でしか有効ではない法律だから、「海外」に拠点を持っているオンカジの胴元に対してはこの「賭博場開帳等図利罪」を適応することができない状態にある。
もちろん、国内業者がオンラインカジノを開設したならば、この「賭博場開帳等図利罪」で一発アウトだし、実際、オンカジ関連の違法で日本人が逮捕されたパターンとして、これはある。
「オンカジはいつから違法なの?」という質問に対しては、「海外拠点のオンカジに関しては、いつまでも違法にはならない」という答えをすることになる。
日本人である限りは単純/常習賭博罪が適応される
一方の「単純/常習賭博罪」のほうだが、これは日本人である限り「賭博」をした瞬間に発動し、いつでも適応されてしまう。
「いつまでも違法ではない海外拠点のオンカジ」であろうと、日本人の「賭博」は行為としてはそれとは関係なく違法なのだ。
明らかな「賭博」が行われているオンカジの逮捕者が少ないのは、「海外拠点のオンカジが違法ではない」ということと、その「開帳されている賭場」がオンライン上であることで、現場がおさえにくいためだ。
だが、現行のオンラインカジノのサーバーがダークウェブではない以上は、政府である警視庁が利用者のアクセスを監視することは可能である。
あくまで「おさえにくい」であって「おさえられない」ではない。これは、最近の「京都府警巡査書類送検事件」などでも明らかだ。
オンカジの違法性に対する3つのタイプと検挙への認識
いまオンカジで遊んでいる連中の「違法」に対するとらえ方は大体3種類にわけられると俺は考えてるんだけど
- オンカジの違法性をしっかりと理解した状態で堂々と遊んでいるタイプ
- オンカジで遊ぶことが違法であると言われても「これは違法ではない」と信じて遊んでいるタイプ
- オンカジで遊ぶことが違法だという事実をまったく知らないで遊んでいるタイプ
大体、こういう感じじゃないかなと思う。この3種類の人間は「おさえにくさ」に対する態度のレイヤーも違う。
一番上は「検挙されにくい」という現在の状況を把握してそれが通用するうちはオンカジで賭博をしている、というタイプ。「危ないな」と感じたら尻をまくる準備をいつでもしているし「最悪捕まってもしょうがない」とさえ考えてるのもいる。
二つ目は「一斉検挙なんて絶対起こらないっしょww」みたいなことを言ってる一見強気だけど実質弱気なタイプで、「検挙されにくい」がいつのまにか「絶対に捕まらない」にすり替わっている。このすり替わりは、けっこう危険だと俺は考えている。
で、三つ目が「オンカジっていつから違法なの?」というピュアな質問をキラキラした目で検索窓に打ち込んでいるような連中、ということになるだろう。
この3タイプのプレイヤーはそれぞれ「賭博法に抵触している」という覆せない違法性において共通している。ただ、その違法性に対する認識が違うというだけである。
「オンカジはいつから違法なの?」に関するまとめ
- オンカジで遊ぶことは賭博法によって最初から違法
- オンカジの海外業者は賭博法適応外なので永遠に合法
- 検挙されにくいだけであって検挙されないではない
「オンカジっていつから違法なの?」というマヌケな質問から俺が考えたことは以上になる。
「オンカジで遊ぶことが明らかに違法」であることがわからない人が一定数いるのは仕方がない、感じさせられることはいろいろとある。
たとえば、オールナイトニッポンなどを聴いているとベラジョンカジノの広告は平然と流れているし、最近では地上波でもオンラインカジノのCMが流れるということがある。
このような状況では、「オンカジは違法」と感じるのはきわめて難しいと思う。
また、オンラインカジノのイメージキャラクターとして日本のセクシー女優が起用されることなども「オンラインカジノは違法ではないのでは?」「いつから違法なの?」というような考えにつながる遠因になっているだろう。
だが、「賭博である以上はオンカジで遊ぶことは絶対に違法」ということは賭博法によって明らかだし、こればかりは覆すことができない。
「いつから違法?」などと検索しないように、最低限のことは把握しておきたいところだ。